過去日記(3)

電子マネーと特許法 – 知的財産権の運用

私自身、東京大学の教養学部理科2類から法学部に「転進」した事もあって、どちらかというと六法的なものよりも「周辺法」的な方が好きでした。とはいっても、結局本郷の4年間(2回わざと留年してるので … 2年間単位0(^^; )でマスプロ授業に出た事は「一度も」なく、こんなんで卒業させる大学もどうかなぁ、といまさらながら思ったりしますが。
とはいえ、「ゼミ」(小人数)には結構面白そうなものがあって、4回生の時と5回生の時にそれぞれ「国際民事訴訟法」と「商法」のゼミに入ってました。今にして思えば、もう少し入ってちゃんとやってた方が良かったような … その位結構「旬な」事をやってました。
私自身が担当したのは「電子マネーと特許法」部分と「連結会計」の部分。夫々、1996年・1997年の話なので、今にして思えば当たりまえの事であっても相当当時は画期的な事だったはず。同じ頃独学で学んでいた「金融工学」系もいまや金融業界の「当たり前のツール」になってますが、連結会計制度に絡み「オフバランス」な話題もあったので、金融工学の知識は意外に役に立ってたかもしれません。

電子マネーと特許法 [増強版] (相澤英孝 編著)という平成11年(1999) に上梓された本があります(2000年になって増強されています)。これは非常に良い本。シティバンクのEMS (Electronic Monetary System)特許に絡む話題はもとより、今話題になっているPKI (Public Key Infrastructure) にも使われる暗号技術(RSA, DSAとか)についての説明もあります。何より、自分自身が極めて「理解が大変だった」準拠法問題・国際裁判管轄(電子マネーは国際的に流れる)と特許要件(暗号技術・ビジネスの方法・ソフトウェア特許など)についてのイシューをわかりやすく説明してくれていて、「1996年の時にこんなのがあったら….」と思ってしまいました(とはいえ、実はこの本を書いているのは「日本銀行金融研究所」の方々だったりしますが、ゼミの時にも日本銀行の方が一人いたんですよね….)。

このゼミの時からずっと「ビジネスの方法」という言葉に非常にひっかかっていて、1999年頃でしょうか…「ビジネスモデル特許」というのが話題になってきました。ビジネスモデル特許は「Business Method Patents」で、「ビジネスの方法」に関する「特許」という位置づけですが … 特許制度自体が、「産業の健全な育成」という事を目的としている事を考えると、ビジネスモデル特許の乱発が逆に産業を窒息させるのではないか、という懸念を有していたわけです。更に、よく研究して行けば、「アンチパテント」と「プロパテント」がアメリカにおいては大体20年ごとに現れてきて、丁度80年代半ば頃から積極的に「プロパテント」政策が取られているわけですが(それにより、多くのベンチャー企業が恩恵を受けている)、ここに来て(つまり20年後の今!)Open Source の Movement があったり 「EFF が 産業育成を阻む特許の無効を呼びかけ」たりといった動きが起こっている事は特筆すべきかもしれません。

勿論、中国の知的財産権法の整備やWIPO加入など、国際的な観点で言えば、まだまだ議論の余地があるところですが、「産業の育成」という大前提の下、METIな方々には是非色々と考えていってもらいたいなあ、と思ってます。
個人的な考えでは、欧米は「アンチパテント」に近づくので(多分2005年あたりから着実に浸透する)、’60年・’70年代に起こった出来事を紐解いていくと日本のあるべき姿が見えるような気がします。また、昨今の「知財立国」的な大綱も良い事は良いのですが、クレグレも「産業発展の阻害」をしないよう、国内での運用(ダブルスタンダードになるかもしれませんが、日本の法体系が「大陸法」的で柔軟性が悪い事を考えるとやむを得ないかも….)の「メソッド」をしっかり模索しなければならないでしょう。

「知財タイムマシン運用」(米国に於けるアンチパテント・プロパテントの「サインカーブ」と、日本のそれの「位相/変位のずれ」を投機的に裁定するパテントマネジメントシステム)あたりの知恵が民間にも芽生えて行くと良いかもしれません。

cf.
https://web.archive.org/web/20041103065956/http://www.terra-intl.com/businessmethodpatent.html
https://web.archive.org/web/20041103065956/http://www.terra-intl.com/tetsuya/2004/04/27/business_method_patent.html

追伸:久々に「電子マネーと特許法 [増強版] (相澤英孝 編著)」のようなものを読んでみました….ここ数年、「ディープな」事ではなく「ライトな」事ばっかり頭の中に入れてて結構頭の中で「整合性」が取れなくなっていたので(全然勉強しなかったし)、また10年来の「ゆりもどし」で勉強の方に力をいれようかな、と。記憶が非常にあいまいになっているものが多くなってるのが手に取るように判るし … 脳がサビついてる…(涙)

Posted by Tetsuya Kitahata at 2004年04月28日 11:44

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